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第十回 かし保険躯体検査前後の工事の注意点・Ⅵ(水平構面:床組)

それぞれの工法について

根太組工法

■ 根太組工法とは

根太組工法は、1階の場合は大引(おおびき)2階では床梁(大梁)の上に直行するように根太を置き、その上に床板を配置します。
地震・台風など天災時の揺れや、人・家全体の荷重を根太と大引等で吸収・拡散することで、耐震性や強度が高まります。また、建物の隅角や壁の交差部、内壁と外周壁の交点に変形防止として火打梁(1階は火打土台)を設けます。

根太の掛け方は3種類あり、必要な耐力に合わせて使い分けをします。また、根太のねじれや転倒を防ぐために転び止め等を用います。

■ 根太の掛け方

【根太の掛け方の強度差】
落とし込み根太(大入れ)
> 半欠き根太(転び止めあり)・転ばし根太(転び止めあり)
 ・落とし込み根太(掛け)

>半欠き根太(転び止めなし)
>転ばし根太(転び止めなし)

出典・資料協力:木構造建築研究所 田原(http://www4.kcn.ne.jp/~taharakn/)

火打梁(火打土台)について

火打梁とは、木造で床組や小屋組で、地震や台風時に発生する水平力による変形を防止するために四隅を固める斜材です(1階の床:火打土台 2階の床や小屋組:火打梁)。根太組工法での床組及び小屋組の隅角には火打材を設けることが原則とされています。

火打梁の設置位置

火打梁を設置する場合は、下記に掲げる位置を参考にバランスよく設置しましょう。
火打梁の設置スパンが長くなると、曲げにより変形が起こったり、外力に対する剛性が低下します。

【火打梁(火打土台)の設置位置】
1.) 火打土台
 ・建物外周の隅角部
 ・土台と土台の交差部
2.) 2階床火打梁
 ・建物外周の隅角部
 ・1階壁上の梁の交差部
 ・1階内壁と外壁の交差部
3.) 小屋火打梁
 ・建物外周の隅角部
 ・2階壁上の梁の交差部
 ・2階内壁と外壁の交差部

< 7.5畳の例 >

火打梁1本当たりの負担面積(平均負担面積)の目安は3.3㎡程度で8畳前後の部屋であれば四隅に火打梁を配置するくらいの感覚です。最大でも5㎡以内に収まるように、火打で支える面積(火打構面)の大きさや火打梁の数を調整する必要があります。
大きな床面積の場合にはさらに小梁を設けて火打梁の数を増やす計画を行い、建物の耐久性、剛性を確保できるように配慮しましょう。

火打梁のチェックポイント【1】
建物の隅角にバランスよく設置する
1本当たりの負担面積が5㎡以内となるよう数量調整を行う

火打梁と継手位置の関係

火打梁設置位置付近の横架材に継手を設けると、外力による変形や継手の外れが起こることがあります。
このような場合には対面側にも火打梁を設置するようにしてください。

火打梁のチェックポイント【2】
火打梁の設置付近では原則として継手は設けない
必要な場合は対面側にも火打梁を設置する

火打金物の接合について

火打梁は木製と金属製のものがありますが、最近では引張力にも対応できる金属製のものが主流となっています。金物製造メーカーの施工基準に準じた指定の方法で正しく金物(品番・ビス本数・設置向き等)が施工されているかを確認しましょう。

■ 火打金物 不適合となる施工例

火打金物のチェックポイント
付属の接合具を正しく使い、取付位置等に注意する

根太レス工法

■ 根太レス工法とは

根太レス工法は、「根太」を置かず、床梁の上に厚さ24㎜~28㎜の構造用合板をN75釘またはCN75釘を用いて、外周部・内周部ともに150㎜間隔で直接打ち付け、その上に床材を張る工法です。床全体で剛性を発揮する考え方で「直貼り工法」ともいいます。
根太レス工法は根太工法に比べ、地震や台風時に発生する水平力に対して強い工法です。

根太レス工法の施工例

< 川の字釘打ちの施工例 >

< 四周釘打ちの施工例 >

■ 釘の種類・めり込み・ピッチ間違いの事例

根太レス工法は釘の種類と間隔を守り、釘頭が構造用合板にめり込まないように注意してください。
なお柱や間柱に干渉する部分は、構造用合板を欠き込みその部分を増し打ちしてください。

根太レス工法のチェックポイント
指定の厚さの構造用合板を使用し
釘の種類や設置間隔、めり込みに注意して施工する

2022年9月1日
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