住宅は人が生活し長期にわたり使い続けるもの。
数十年先でも快適に暮らせることが必須条件です。
そのために求められる機能としては「耐久性」「耐震性」「バリアフリー性」「省エネ性」。
なかでも「省エネ性」にフォーカスし、快適に暮らし続けられる住宅を目指したのがZEH(ゼッチ):ネット・ゼロ・エネルギーハウスです。
国は2020年までに、ハウスメーカー等が新築する注文住宅の半数以上を、30年までに新築住宅の平均でZEH化を目標としており、環境省・経済産業省・国土交通省の3省でそれぞれに補助金制度等を設け、この制度を推進しています。
将来はZEHの家が日本の住宅のスタンダードになっていくことは間違いないでしょう。
昨年に引き続き、対象3省の2020年の要綱がそれぞれ出ています。それぞれの改正・変更点について詳しく整理していきましょう。
目次
そもそもZEH(ゼッチ)とは何だろう(再掲)
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは?
外皮の断熱性能などを大幅に向上させるとともに、高効率的な設備システムの導入で室内空間の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で再生可能エネルギーを創り出す設備を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅
ざっくりというと一般的な住宅で使うエネルギーを20%省エネし、さらに太陽光発電などの再生可能エネルギーの創エネで±0の住宅を目指す考え方のことです。
つまり、
省エネ+創エネ≒0
いわばエネルギーの自給自足の家がZEH(ゼッチ)
というわけなのです。
■ 一般住宅とZEH住宅の考え方
2020年度の改正点
新たに追加となったZEH事業
今年は下記の事業が新しく追加となりました。
《 戸建住宅補助事業:経済産業省 》
◎ ZEH+次世代実証事業に『次世代ZEH+』を新設
◎ 3戸以上の住宅でのレジリエンス強化事業として『コミュニティZEH』を新設
* 集合住宅補助事業には大きな変更はありません。
ZEHの種類と考え方(戸建て住宅の場合)2020年ver.
エネルギー自給自足を目指すZEHの考え方には様々なバリエーションが設けられており、大きく≪ 省エネ強化型ZEH ≫ と ≪ エリア限定型ZEH ≫の2つに分類できます。2020年のZEHは、≪ 省エネ強化型ZEH ≫に新しい補助事業が追加されました。
*これまでのZEH事業についてはこちらを再確認してください。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)などの省エネ住宅について ~いろいろありすぎてわけがわからない省エネ住宅を整理する~
省エネ強化型ZEHの新設
ZEHの省エネの部分を25%まで拡大し、電気自動車充電設備など自家消費拡大につながる設備を導入したZEHとしてZEH+(ゼッチプラス)があります。今年新たに『次世代ZEH+』が追加になりました。
A:次世代ZEH+(ジセダイゼッチプラス)【2020年新設】:より高性能なZEH+
従来のZEH+にかかる要件を満たした上で、さらに、
- 蓄電システム
- 燃料電池
- V2H充電設備
のうちいずれか一つ以上を導入し創エネ。
B:コミュニティZEH【2020年新設】:災害時にZEH+住宅の余剰電力を周辺地域で有効活用
地域コミュニティに参加するZEH+またはZEH+R住宅(既存住宅含む)から発生する太陽光発電等の余剰電力を、停電時に避難所等の施設に供給し、ZEH+のレジリエンス(防災力)を地域住民に提供できることが条件です。対象コミュニティの条件は以下のとおりです。
《 コミュニティZEHの条件 》
◎ 対象住宅は、直径4kmの同一円内に配置されているものに限る
- ZEH+またはZEH+Rを満たす住宅が3戸以上
- コミュニティに参加する住宅の8割以上がZEH+またはZEH+Rの要件を満たすこと
■ コミュニティZEHの概念図
コミュニティZEHは各住宅のみならず、周辺地域にレジリエンスを提供する共用設備やエリア内にある既存住宅の共用設備も補助事業の対象となります。
《 コミュニティZEHのインフラモデルの例 》
◎ 公共スペース(道路を含む)から利用可能な、屋外コンセントを設置(各住宅の敷地内設置も可)
◎ コミュニティ用の電気自動車(EV)を確保し、停電時に、各戸の余剰電力を活用して地域に供給
◎ 停電時に利用できるよう、避難所等の施設に自営線を介し地域に供給
コミュニティZEHの詳細についてはこちらをご確認ください。
※ 現在、補助事業の受付は終了しております。
これらをまとめると今年の戸建住宅でのZEHは以下の図のようになります。
■ 2020年版ZEHの種類(戸建住宅の場合)
2020年版ZEHの考え方をまとめておきましょう。