GMEN PRESS

住宅ローン減税に省エネ性能が必須化!              

住宅ローン減税に省エネ性能が必須化!              

※2023年12月18日更新(2023年12月14日発表の2024年度税制改正大綱の内容を青字で表記しております)

現在、住宅ローン減税に関しては令和4年度税制改正に沿って行われておりますが、令和6年(2024年)から省エネ性能に応じた借入限度額が引き下げられ、更に省エネ基準に適合していないと住宅ローン減税を受けられなくなります。新築住宅は住宅ローンを利用する方が圧倒的に多いので数百万の還付が受けられないとなると大変です。令和7年(2025年)の省エネ基準適合義務化に向けての布石でもありますので、令和5年中に省エネ基準適合は避けて通れません。
絶対数としては減っていると思いますが省エネ基準に適合していない住宅を建築されている事業者の方は対応せざるにはいられない状況となりました。

それでは住宅ローン減税について改めて解説していきます。

住宅ローン減税の概要

  • 控除率は一律0.7%、控除期間を新築住宅等は原則13年、既存住宅は10年
  • 適用対象者の所得要件2,000万円以下
  • 床面積の要件は50㎡以上(新築で2024年までに建築確認を取得した場合、所得要件1,000万円以下に限り、40㎡以上も該当)
  • 既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)について、「昭和57年以降に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)
  • 住宅の環境性能等に応じて借入限度額の上乗せあり

入居日による借入限度額(年末残高)と控除期間

令和4年と令和5年(2022年~2023年)

住宅の性能借入限度額最大控除額控除期間
新築住宅、買取
再販(一定の増
改築を行った)
①長期・低炭素認定住宅5,000万円455万円13年
②ZEH水準省エネ住宅4,500万円409.5万円
③省エネ基準適合住宅4,000万円364万円
その他の住宅3,000万円273万円
既存住宅上記①②③の住宅3,000万円210万円10年
その他の住宅2,000万円140万円

※所得税だけで控除しきれない場合は、住民税から最大9.75万円/年控除されます。

令和6年と令和7年(2024年~2025年)

住宅の性能2024年入居
借入限度額
最大控除額2025年入居
借入限度額
控除期間
新築住宅、  買取再販(一定の増改築を行った)①長期・低炭素
認定住宅
4,500万円409.5万円4,500万円※213年
5,000万円※1455万円
②ZEH水準省エネ住宅3,500万円318.5万円3,500万円※2
4,500万円※1409.5万円
③省エネ基準適合住宅3,000万円273万円3,000万円※2
4,000万円※1364万円
その他の住宅0円
既存住宅上記①②③の住宅3,000万円(最大控除額:210万円)10年
その他の住宅2,000万円(最大控除額:140万円)
床面積要件50㎡(新築の場合、2024年までに建築確認:40㎡ ※2所得要件:1,000万円)

 ※1「19歳未満の子を有する世帯」又は「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」      ※2 2025年年度税制改正にて2024年と同様の方向性で検討                   ※3 2023年末までに新築の建築確認を受けた住宅に入居する場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年間が適用されます。住宅ローン減税の税務署への申請時、確認済証の写しを提出し、2023年12月末までに建築確認を受けた住宅であることを証する必要があります。2024年6月末までに竣工済の住宅については、省エネ基準に適合しない場合にも特例の適用がある場合があります。

住宅ローン減税の申請に必要な証明書関係

上記の表のように住宅の環境性能等に応じて借入限度額の上乗せがあります。

長期・低炭素認定住宅
所管行政庁の認定を受けた長期優良住宅と低炭素建築物(住宅)を指します。
ZEH水準省エネ住宅
断熱等性能等級5以上および一次エネルギー消費量等級6以上の家屋を指します。
省エネ基準適合住宅
断熱等性能等級4以上および一次エネルギー消費量等級4以上の家屋を指します。

それぞれに必要な証明書関係

環境性能等の区分必要な証明書
①長期・低炭素認定住宅都道府県または市区町村等の長期優良住宅建築等計画
か 低炭素建築物新築等計画の「認定通知書」の写し
市区町村の「住宅用家屋証明書」(認定長期優良住宅
か認定低炭素住宅に該当する旨などの記載があるもの)
もしくはその写し
または建築士等が発行した「認定長期優良住宅建築証明書」か「認定低炭素住宅建築証明書」
②ZEH水準省エネ住宅建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」
または登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」
の写し(断熱等性能等級5以上および一次エネルギー
消費量等級6以上であるもの)
③省エネ基準適合住宅建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」
または登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」
の写し(断熱等性能等級4以上および一次エネルギー
消費量等級4以上であるもの)

ここで赤文字にした証明書は、建築士等が発行とあります。
建築士等とは、一級建築士、二級建築士または木造建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関および住宅瑕疵担保責任保険法人をいいます。

長期優良住宅と低炭素建築物は、以前から借入限度額の上乗せ対象として扱われていましたので皆さんご存知かと思いますが、「認定通知書」「住宅用家屋証明書」の提出で足りますので「認定長期優良住宅建築証明書」か「認定低炭素住宅建築証明書」は必要ありませんでした。
しかし、「住宅省エネルギー性能証明書」は2022年度に新しく出来た証明書となりまして、代わりになる書類が「建設住宅性能評価書」しかありませんので、ほとんどの方がこの「住宅省エネルギー性能証明書」が必要になります。

当社のような登録住宅性能評価機関や住宅瑕疵担保責任保険法人も発行主体としてありますが、ここで注目したいのは建築士事務所に属する建築士も発行できるという点です。
建築士事務所登録をしている事業者の方は、ご自身で発行できるという事です。

住宅省エネルギー性能証明書を発行するための確認方法

国土交通省の住宅ローン減税の説明ページには、住宅省エネルギー性能証明書に係る証明について【通知】が掲載されています。

建築士法に定められている設計等の業務に関する報告書である「工事監理報告書」の提出があった場合においては、工事が当該設計図書等のとおりに実施されているかどうかを確認する
ただし、工事監理報告書がない場合又は対象の家屋が建築確認を要しない建築物に係るものである場合は必ず現地調査を行う。


設計段階で基準に合っているかは設計住宅性能評価書BELS評価書で照合を省略するなど合理化に努めるとされているので、「住宅省エネルギー性能証明書」は設計図書等で基準に合っているか確認しつつ、施工状況を確認しなくてはいけません。また、証明書には家屋番号を記載するため実際には登記した後(完成した後)での証明ということになります。

ZEH水準や省エネ基準に適合しているかの確認は、当社で設計住宅性能評価書やBELS評価書を取得してもらい、自社もしくは自社で利用している設計事務所の建築士で工事監理報告書をもとに発行することをお勧めします。
物件数が多くまとめて当社で「住宅省エネルギー性能証明書」を発行して欲しいという方は別途ご相談ください。

省エネ性能必須化の3つのポイント

省エネ基準とは、建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準であり、一次エネルギー消費量基準と外皮基準からなります。

新たに住宅ローン減税の必須要件となる省エネ性能は、現行省エネ基準となり、2025年に義務化を予定している基準と同じです。

国は段階的に対応してもらおうと考えているのでしょうが、2025年の省エネ基準義務化の前に実質2024年に義務化されたようなもので、前のめりに対応していく必要があります。

省エネ基準や省エネ義務化に関しては当社のWEBセミナーを参照ください。

Return Top