不同沈下について
地盤が時間を経て沈下する圧密沈下でも、沈下高さに違いがあり建物に歪みが生じる状態を「不同沈下」といいます。
不同沈下の詳細についてはこちらをもう一度ご確認ください。
不同沈下は許容沈下量の判断に加え「変形角」「傾斜角」という2つの指標で検証します。不同沈下の確認ポイント
不同沈下の確認ポイント
◎剛体傾斜…傾斜角で判定
・損傷等が生じないで建物が一体となり沈下傾斜する場合
◎変形傾斜…変形角で判定
・不同沈下により基礎にひび割れが生じ建物躯体に変形が生じて沈下傾斜
不同沈下は、建物が全体的に傾斜するか、部分的に傾斜するかの違いで傾斜角タイプと変形角タイプに分けられますが、実際には二つのタイプが複合されたような形で発生します。
○ 剛体傾斜と変形傾斜
それぞれの違い
剛体傾斜(傾斜角タイプ)は、住宅の外壁の傾斜角と基礎の傾斜角が一致しています。基礎の剛性が高いため、基礎と建物が一体化し、箱のようになって一定方向に傾きます。この場合、建物にはほとんど被害は出ませんが、そこに住む人がめまいを訴えるなどのトラブルが発生します。おおむね6/1000(水平距離1mに対し鉛直変位6㎜)程度で申し立ては急増します。
変形傾斜(変形角タイプ)では、変形が大きい箇所に応力が集中し、基礎や建物に亀裂や歪みが発生します。V字型は、ガラの埋没した不均質地盤や建物中央部が極端に軟弱地盤に起こり、への字型は擁壁の転倒等による発生が多いです。部分的に3~5/1000変形すると基礎や建具、内外壁に隙間が生じ構造に影響が発生します。
指標となる基準
○ 小規模建築物の傾斜角と変形角の限界値
出典:一般社団法人日本建築学会 「小規模建築物基礎設計指針」
○ 不同沈下の設計目標値の例
出典:一般社団法人日本建築学会 「小規模建築物基礎設計指針」
不同沈下の事例検証
変形角が10/1000以上になってしまっている。
計画地は不同沈下の危険性はかなり高いので、
住宅を建てるには地盤の改良が必須条件だな。
さて、J1号、J2号、2つの事例を確認してどう思った?
結局SWS試験をしないと
本当のところは絶対わからないと思っていたのですが、
…なんか、だんだんそうじゃないような気がしてきました。
地盤はこれまでの歴史が大きくモノをいうので、
事前調査と現場踏査でおおまかなアタリをつけていく。
ケースによってまちまちだが
概ねSWS試験等は検証として行うイメージだ。
経験を積んでいくと、データを見ただけで
地盤の癖を読み取ることができるようになるのさ。
ここでまとめとして地形と土質・年代からの
判定の目安を挙げておこう。
参考にするといい。
次回はいよいよ地盤の具体的な改良方法について
説明していくぞ!
事前調査からの大まかな判定目安
◯ 地形からの判定
◯ 土質と年代からの判定
次も楽しみです!
ジバンシー先生のワンポイントレッスン
地盤の液状化とは、地震が発生した際に地盤が液体状になる現象のことです。
液状化は、緩く堆積した砂地盤が、地下水で満たされている場合に発生しやすく、地震発生で繰り返される振動により地中の地下水の圧力が高くなり、砂の粒子の結びつきがバラバラになって、まるで液体のように地下水に浮いたような状態になります。水よりも比重が重い建物の沈下や傾き、水の比重よりも軽い下水道のマンホールなどの浮き上がり、さらには地面の裂け目から水や土が浮き上がる噴砂現象も見られます。特に建物重量が軽く基礎が浅い木造住宅は、傾斜や沈下などの被害を受ける可能性が高いので注意が必要です。
液状化が起こりやすい場所は『地下水位が高く、ゆるく堆積した砂地盤』です。このような地盤の場合は長期許容支持力や沈下に加え、液状化対策も併せて検証しなければなりません。
液状化の起こりやすい場所は国土交通省や各省庁のハザードマップなどで確認することができます。