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Lesson4:現地調査Ⅰ ~百聞一見~

地盤調査について

現地調査(現地ロケーション)とは

現地調査とは、あらかじめ行った事前調査(ペーパーロケーション)をもとに、現地の土の堆積環境や生成発展の状況を確認し、その土の性質と耐力を土質工学的に調べる調査です。対象となる敷地の地形や地質等を、リアルに確認・調査するとても重要な機会です。ここでの調査結果が住宅建設の基盤となるといっても過言ではありません。

1:現場廻りや敷地の状況を観察する(現地踏査)

事前調査であらかじめ調べておいた敷地を、実際に歩いて確認します。敷地周辺の土地状況もしっかり調べておきましょう。

現地踏査での確認ポイント
◎地形や地質の確認

  • 周辺の土地の現状と土地の利用状況(水田・畑地・山林など)

◎敷地の傾斜や敷地境界の高低差の確認

◎敷地履歴・造成状況の確認(盛土の有無)

  • 地形図と現状の比較 周辺家屋の築年数や電柱標識の年数表記確認、可能なら近隣住民の聞き込み
  • 盛土の層厚の計測 新規盛土の予定確認

◎擁壁の有無

  • 擁壁の構造や形式の確認 水抜き孔の有無、設置状況の安全性の確認

◎その他周辺異常等の確認

  • 敷地内:建物外壁や基礎のクラックの有無 土間・犬走りの損傷状況
    門扉・塀・建具の変形開閉不良
  • 周辺地:隣地の電柱の沈下や傾き、道路の波うち、排水溝や水路の乱れ等
  • 現地周辺の植生する植物の種類

■ 対象となる敷地が盛土の場合

対象となる敷地が盛土の場合は、現地踏査段階で対象地が盛土造成された時期を概ね確定することが必要になります。盛土かどうかは事前調査段階で土地条件図から調べる、または古い地形図と新しい地形図の標高を比較することで確認することができます。
(土地条件図はこちらを再確認してください)

電柱の標識から造成年数を推定する

盛土造成時期を調べるには、近隣住民への聞き込みも有効ですが、付近の電柱の設置年数を見ることでも調べることができます。
電気は人が住まないと引き込まれないので、電柱の設置時期はその土地の造成時期とほぼ等しいと考えられます。
概ね標識の下部に年数が表記されていますので確認してみてください。

■ 対象となる敷地に擁壁が近接している場合

対象となる敷地に擁壁が近接している場合も注意が必要です。3㎡以内に1本以上水抜き孔がない擁壁や空石積み擁壁、増積み・二段積み擁壁は「不適格擁壁」といい、地震時の崩壊の危険性があります。表面のクラックやズレ、段差などがないかも併せて確認を忘れないようにしましょう。擁壁の安全確保についてはこちらを参考にしてください。

2:地盤を調査する(現地計測)

続いて、対象となる敷地の地盤調査(現地計測)を行います。

住宅でよく使われる調査方法は大きく3つあり、戸建住宅などの小規模建築物の建築で行われる「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」、マンションやビル建設時によく利用する「ボーリング調査」、地表から地中に向かって振動波を送り、地盤の硬さを測るという新技術調査の「表面波探査法」があります。

地盤調査の方法

ここでは一般的に利用される「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」について説明していきます。

スクリューウエイト貫入試験とは?

スクリューウエイト貫入試験は、1917年に北欧スウェーデンの国有鉄道により、路盤調査方法として採用されていたことがはじまりです。日本では1950年代前半に当時の建設省が堤防の調査へ導入したことがきっかけで普及し、1976年にはJIS規格に制定されました。「SWS試験」「SS試験」と呼ばれることもあります。

スクリューウエイト貫入試験の支持力の算定

建物の重さは、真下だけではなく、上図のように拡散して地盤に伝わります。
一般的な2階建て木造住宅では、基礎底面からおよそ2mで建物荷重はほとんど分散されるので、沈下の検討では基礎下2mまでと基礎下2m~5mを分けて調べます。

国交省告示1113号では、SWS試験の結果、基礎下から2mの位置に1.0kN(約100㎏)以下のおもりで自沈する層がある、または基礎下2m~5mの位置に0.5kN(約50㎏)以下のおもりで自沈する層がある場合、沈下や変形に対する検討を義務づけています。

スクリューウエイト貫入試験の具体的な方法

スクリューウエイト貫入試験は対象敷地に対し建物の配置に合わせ、原則として周囲4点と中央1点の計5か所に行います。

先端にドリル状の部品(スクリューポイント)がついた長さ0.8mの鉄の棒(ロッド)を地中にねじ込み、15㎏から25・50・75・100㎏の重りを5段階で設置し、25㎝ごとのロッドの沈み具合とハンドルの半回転数から地盤の強度を測定します。おもりを1.0kN(100㎏)まで付けても沈まない場合は、さらに棒を回転させて1m入れ込むのに何回転必要かを計測します。

1.0kN (100㎏)のおもりをつけても沈まず半回転数が多いほど硬い地盤、おもりをのせただけで沈んでいく場合は弱い地盤と判断できます。

2022年9月1日
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