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住宅トップランナー制度をご存知ですか?

住宅トップランナー制度をご存知ですか?

昨年の消費増税から新型コロナウイルスの影響まで住宅業界では先行き不透明な厳しい状況が続いておりますが、我々が対応していかなければならない法改正などの流れは止めることができません。
民法は120年ぶりに大改正され、契約書や約款の見直しなど対応に追われている方も多いと思います。2月末に当社でも改正民法の解説資料を作成しておりますのでこの機会にぜひご覧になってください。

改正民法の資料のプレゼントは終了しました。

住宅トップランナー制度とは
さて、今回のテーマは「住宅トップランナー制度」です。

住宅トップランナー制度とは、事業者の供給する住宅の省エネ性能向上を促す措置として、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下、「建築物省エネ法」という)により、現状の分譲戸建住宅に加え、昨年11月に注文戸建住宅・賃貸アパートへと対象を拡大することにより、断熱性能の確保、効率性の高い建築設備の導入等、一層の省エネ性能の向上を誘導するよう法改正が行われた制度で、いよいよ4月から開始されます。

拡大されたのは注文戸建住宅を年間300戸以上供給する事業者、賃貸アパートは年間1,000戸以上供給する事業者です。

ちなみに分譲戸建て住宅で年間150戸以上に該当する49社は先行して以前から取り組みを行っているのをご存知でしたか。

■ 表1

出典:国土交通省「住宅トップランナー制度の概要と報告方法について」

この戸数の設定は、住宅供給戸数の概ね半分がカバーされる水準として設定されているようです。年間300戸以上の注文戸建事業者といえば地域で上位、もしくは地方の上位でもそこまでの戸数を供給している事業者は少ないと思います。(制度設定時にアンケート対象とした事業者は68社のようです)

また、表1にあるように一次エネルギー消費量基準はそれぞれ省エネ基準に比べて高い目標が設定されています。

先行して取り組みを行っていた分譲戸建住宅は2020年度が目標で、水準は現行のまま据え置き。注文戸建住宅と賃貸アパートは2024年度を目標として2020年4月以降に確認済証が交付された住宅から対象となり、最初の報告は2021年6~8月となります。
※ 分譲戸建住宅の方は「検査済証」が交付された住宅でしたが、今後は「確認済証」へと対象住宅の年度のカウント方法が変わりました。

さらに、制度の対象となる住宅事業者に対しては、目標年度において達成状況が不十分であるなど省エネ性能の向上を相当程度行う必要があると認めるときは、国土交通大臣は、当該事業者に対し、その目標を示して性能の向上を図るべき旨の勧告、その勧告に従わなかったときは公表、命令(罰則)をすることができる。とされています。

建築主への説明義務化

と、ここまで読んでいただいた方の大半は「自分たちは関係ない」と思ったかもしれません。

しかし、今回の建築物省エネ法改正は2段階となっており、次は2021年4月に300㎡未満の小規模住宅・建築物(共同住宅や小規模店舗等も含む)の設計に際して、建築士から建築主に対して、以下の内容について書面で説明を行うことが義務づけられます。

  1. 省エネ基準への適否
  2. (省エネ基準に適合しない場合省エネ性能確保のための措置

■ 説明義務対象物件に係る手続フロー

出典:国土交通省 住宅局 住宅生産課 建築環境企画室
「建築物省エネ法の改正概要と戸建住宅等に適用される制度・基準・計算法について」

余談ですが、先日改正された建築士法施行規則では4号建築物や建築確認の不要な建築物であっても、壁量計算、四分割法の計算及びN値計算に係る図書等の構造関係図書も保存図書に追加されております。
この建築主に交付する説明書面も建築士事務所の保存図書に追加される予定です。

以前も書きましたが、ハウスメーカー等を中心に大手が当然のように対応していく中、一般的に考えると建築士が、建築主に対して胸を張って「省エネ基準には適合していません」と説明するのは正直難しいと思います。(コストが上がるのでやりません。と言い切る事業者も今はおりますが・・。)

大手は今年の4月から省エネ計算を全戸行う必要があるので、「省エネ基準対応済」「省エネ基準を25%削減」などとお客様へアピールするのは普通に考えられます。
(「自分たちは関係ない」「1年後に対応すれば良い」とお考えの事業者はこの記事すら見ていないと思いますが・・。)これは既に事実上の義務化がスタートするのに近いと私は考えております。

ちなみに説明資料のQ&Aでは以下の記述もありました。

トップランナー制度の対象外事業者についても、トップランナー基準に適合する高い省エネ性能の住宅を供給していることについて、PRできるようにしてほしい

トップランナー制度の対象外事業者を含め、住宅事業者から自発的に提供された住宅の省エネ性能向上に係る目標やその達成状況等の情報を集約し、消費者等に分かりやすく公表する仕組みについて検討していく予定です。

とても前向きですよね。

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