
経済産業省は2025年9月、住宅における省エネルギー性能牽引の担い手であるZEH・ZEH-Mについて、新たに「GX ZEH」及び「GX ZEH-M」を定義し、公表しました。
これにより住宅の省エネルギー性能はさらに高いレベルが求められるようになり、設備導入が要件化されることで、建築コストの上昇による施主の負担増が予測されます。 住宅会社の皆様におかれましては、「GX ZEH」及び「GX ZEH-M」の要件を早期に理解しておくことで、コスト増を見据えたご提案の準備ができ、スムーズな対応につながるのではないでしょうか。
今回は、新たに定義された「GX ZEH」及び「GX ZEH-M」について解説いたします。
GX ZEH/GX ZEH-Mとは
という目標の達成を目指す過程で、2030年には現行のZEH基準の水準の省エネルギー性能が義務化されるため、より高い省エネルギー性能を掲げることが期待されることや再生可能エネルギーの自家消費拡大を促進するために見直されたZEHの新たな定義です。

新しいZEHの定義
新定義の名称「GX ZEH」「GX ZEH-M」について
現行のZEH・ZEH-Mを踏襲しつつ、違いが分かるようにするという目的を元に「GX ZEH」及び「GX ZEH-M」に改称されました。
また、これに伴い各シリーズも名称が変更になっています。
- ZEH+
- Nearly ZEH
- ZEH Oriented
- GX ZEH+
- Nearly GX ZEH
- GX ZEH Oriented
- ZEH-M+
- Nearly ZEH-M
- ZEH-M Ready
- ZEH-M Oriented
- GX ZEH-M+
- Nearly GX ZEH-M
- GX ZEH-M Ready
- GX ZEH-M Oriented
GXとは
Green Transformationの略で、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のこと
何が変わったの?新定義の要件
新定義の主な要件は下記のとおりです。
現行の定義より変更となっている内容を太字にしています。
- 断熱等級6(現行の定義:断熱等級5)
- 再エネを除いた
一次エネルギー消費量削減率35%以上(現行の定義:20%以上) - 再生可能エネルギー設備の導入
- 再エネ含めた
一次エネルギー消費量削減率
100~115%未満 - 高度エネルギーマネジメント(HEMS)の導入
- 定置用蓄電池の導入
- 断熱等級6(現行の定義:断熱等級5)
- 再エネを除いた
一次エネルギー消費量削減率35%以上(現行の定義:20%) - 再生可能エネルギー設備の導入
- 再エネ含めた
一次エネルギー消費量削減率
100~115%未満
敷地内に駐車スペースを有する全ての戸建住宅/集合住宅においては、現に居住者がEVを保有していない場合であっても、敷地内に充電インフラの設置が困難であることが将来的な保有を妨げる要因とならないように、当該住宅の建築士は建築主に対して、EV充電設備/V2H充電設備(充放電設備)の導入検討にあたり必要な情報の説明を行う必要があります。
新定義の詳細

※GX ZEH Oriented/GX ZEH-M Oriented について
個々の住宅における立地環境や屋根/建物形状等の諸条件を勘案のうえ、当該住宅の建築士は建築主に対し再生可能エネルギー導入検討にあたり必要な情報の説明を行う必要があります。
※集合住宅の例外規定
集合住宅(住棟)において、最長 2030年までの時限的な例外規定として、角住戸 等(天井(屋根)・床・壁・開口部等の外皮が外気等(住戸専有部以外の用途を含む(駐輪場や駐車場等の温度差係数 0.7 の室))に3面(1面あたり 2/3 以上が外気等に面していること)以上面している住戸)に限り断熱等性能等級5以上とすることが認められます。ただし、その場合にあっては、全住戸の外皮平均熱貫流率(UA 値)の平均値が断熱等性能等級6の基準値を満たすことが条件です。また、断熱等性能等級6以上を満たしていない住戸については、販売主から購入者に対してその旨を説明する必要があります。なお、全住戸の外皮平均熱貫流率(UA 値)の平均値は各住戸の面積を考慮した加重平均値とされています。
いつから始まる?
新定義は、
の予定です
- 新定義への移行には経過措置が設けられ、現行の定義も2028年3月まで新規取得可
- 2028年3月までに建設された住宅を改修する場合は、2028年4月以降も現行の定義での新規取得可
- 既に現行の定義で取得した認証は2028年4月以降も使用可
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、新たな住宅性能基準 GX ZEH/GX ZEH-M について解説いたしました。
実際の適用は2027年4月からですが、新たな定義に対する方針を早めに整理しておくことで、スムーズな対応が可能となり、顧客からの信頼獲得にもつながるのではないかと思います。
本記事が、皆様のビジネスの参考になれば幸いです。
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